ドアヒンジに見るBMWと国産車の違い

BMW

以前から少し気にはなっていたんですが、BMWのドアヒンジって鋳物製の物を使用しています。今まで乗ってきた国産車はすべてプレス成型のドアヒンジだったので、この部分だけ見ても、設計思想の違いが有るんだろうなと思っていました。正直、鋳物製のドアヒンジがいいのか、プレス成型のドアヒンジがいいのかは分かりませんが、BMWに限らず、多くのドイツ車は、エントリーモデルから、多くのモデルが鋳物製のドアヒンジを採用しています。やはり何かしらの理由があるんでしょうね。

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BMWに限らず、ドイツ車は軒並み鋳物製のドアヒンジを採用している

この鋳物製のドアヒンジを採用しているのはBMWに限らず、メルセデスやアウディ、VW等、ドイツ車はほとんどの車で採用されています。日本で販売されているドイツ車の中で、最も安価な部類である、VWのUPもこの鋳物製ヒンジを採用しています。僕の所有している1シリーズでも例にもれず、鋳物製のドアヒンジを採用しています。

エントリーモデルの1シリーズでも鋳物製のドアヒンジが採用されている

対して、国産車はと言うと、ほとんどの車種でプレス成型のドアヒンジを採用しています。ちなみにもう1台所有しているオデッセイもプレス成型のドアヒンジでした。

オデッセイではプレス成型のドアヒンジを採用

ただ、プレス成型と言っても、厚みは十分にありますし、昔の様に、ヒンジが甘く、ドアの締まりが悪くなると言うような事はまずないと思います。国産車ではやはり燃費性能を意識して、軽量化の為この様式で制作しているのかもしれませんね。コスト的に見ると、恐らくですが、鋳物の方が原価は高いと思われます。

よくこのドアヒンジがドアを閉めた際の音に影響すると言うのをネットで目にしますが、個人的には関係ないと思っています。どちらかと言えば、衝突時のドアの開閉に支障がない様に、ドイツ車は鋳物製を採用しているのではないかと思います。いくら厚みがあるとは言っても、解析してみないと分かりませんが、感覚的には、やはり鋳物製の物の方が強度はあると思います。

ドイツ車が軒並みこの鋳物製のドアヒンジを採用している所を見ると、やはり何かしらの理由があると思います。もしご存じの方がいれば、教えて頂きたいです。

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国産車の中でも、レクサスの一部車種では鋳物製のドアヒンジが採用されている

国産車の中でもレクサスの一部車種では、鋳物製のドアヒンジが採用されています。僕の知る限り、LSや、RXなどの高価格帯の車種で鋳物製のドアヒンジが採用されており、NXなどの普及価格帯の車種ではプレス成型の物が採用されています。これを見てもやはり、「高級車」が求める基準の中にこの鋳物製のドアヒンジが何かしら影響しているのだと思います。

でなければレクサスもわざわざ鋳物製の物を採用しないでしょうね。又、ネットを見ていると、単純に昔からの生産工程による違いで、ドイツ車は鋳物製で、国産車はプレス成型の物を採用していると言う意見を目にする機会が有りますが、これについても、個人的には疑問に思います。

と言うのも、レクサスの半分以上を生産している九州にある宮田工場では、RX、NX、ES、CT、UXを混流生産で生産しています。恐らくですが、生産工程の違いで鋳物製とプレス性の違いが有るのであれば、この宮田工場の様に混流生産を行う上で問題が出てくると思います。この辺を無視してまで、レクサスが、車種によるヒンジの違いを出してくるとは、個人的には考えにくいと感じています。

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最後に

あまり普段気にしないところではありますが、ドアヒンジ一つとっても、国産車とドイツ車で違いが有るものですね。その中でも、やはりレクサスが高価格帯の車種で鋳物製の物を採用している所を見ると、何かしら高級車には必要な要件が、鋳物製ヒンジに有るのではないかと、個人的に感じています。

今後もいろんな部分に着目して、車を楽しんで行ければと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました・

コメント

  1. 貴幸 より:

    またまたマニアックかつ愛車精神あふれる投稿ありがとうございますw

    まず鋳物ですとやはり剛性に関わってくるそうです。
    ドイツ車はアウトバーンを意識した造りになっていますのでエントリーモデルでも採用されているのではないでしょうか。
    国産車ですとGT-Rやレクサスの上位車種、センチュリーなどに採用されているようです。

    また生産ラインの組立方法の違いとかもあるかもしれませんね。

    いずれにしても私もすぐに確認し、ニヤニヤしてしまうこと必至ですw

    • ponsuke より:

      貴幸 様
      早速調べて頂きありがとうございます。
      僕自身、自動車関係ではありませんが、仕事柄3Dで設計、解析を
      行っているので、この部分の材質については以前から気になっていて、
      個人的に調べて、国産では高価格帯の車両のみに採用され、
      ドイツ車ではエントリーモデルから鋳物が採用されている
      と知りました。
      やはり感覚的には鋳物の方が強度はあると思いますが、
      プレス成型の物も厚みがかなりあり、サイズも小さいのに、
      この生産技術には結構関心する部分も有ります。
      何にしても、1シリーズとは言え、「高級車」
      としての一部分を見たような気分です。

  2. ムース より:

    実は自分も初めてBMWを購入した際に気づいて小さくても高級車だなぁと感じたことを思い出しました。でも国産車で考えれば1.5Lのハッチバックで400万オーバーの車はないなぁと考えると当たり前なのかなぁと感じました。以下はネットに出ていた記事です。

    ドアヒンジは外からは見えず、性能にも直接的な関係はないのですが、ある意味において日本車と欧州車の最大の違いと言っても過言ではないと思います。
    たかがドアヒンジと思われるかもしれませんが、プレス製と鋳鉄製ではドアの開閉時の感触と音が異なり、それはクルマの高級感につながっています。昔からドイツ車はドアの閉まりがいいとか、閉まるときの音が高級感があるなどと言われてますが、これはけっして都市伝説の類いではありません。それにはドアヒンジが大きく関係しています。プレス製が時間の経過とともにドアの重みで伸び、甘くなってしまうのに対し、鋳鉄製は剛性が高いため、カッチリとした状態が長く保てるのです。

    ではなぜ日本車にはプレス製が多く使われているかというと、コストが安いからです。しかし、最近では鋳鉄製を使うクルマも出てきました。たとえばある高級車は、デビューしたときはプレス製だったのですが、いつの間にか鋳鉄製に変えられていました。遅ればせながら、日本のカーメーカーもその重要性に気づいたようです。

    • ponsuke より:

      ムース様
      いつもありがとうございます。
      流石、ムース様は気づかれていましたか。
      お書き頂いた記事の件ですが、恐らくレク〇スですね。
      確かに昭和の車であれば、ドアがダレたりはあったと
      思いますが、さすがに今の車であれば、そんな事はないと思います。
      確かにプレス成型の物であれば、コストは安いのだろうと思います。
      何と言うか、バランスの問題なんでしょうね。
      国産車の様に安価でなければ売れない、軽くして燃費が良くないと
      売れないと言った、設計思想であれば、プレス成型を選択するのは、
      個人的には正しい判断かと思います。
      どちらかと言うと、衝突時の安全性の為ドイツ車は鋳物を
      採用しているのかなと感じています。
      あと、ドアを閉める際の音ですが、ドアパネルの制振材の使い方も
      関係していると思います。1シリーズのドアパネルをコンコンたたくと、
      コッコッと響きませんが、国産車の多くの車がバーンバーーンと
      響いた音がします。実際以前乗っていたオデッセイにデッドニングを
      行ったのですが、ドアを閉める音が驚くほど、ドンッと良くなりました。
      何にしてもCセグメントで400万円の車は見当たらないので、
      一応高級車の一部を垣間見える部分だと思います。

  3. ムース より:

    私も製造業に就いて31年になりいまは管理職をしていますが、30年前は材料も良いものを使用し現場には職人や匠と言われる年配者が自分の思うようにこだわりをもって仕事をしていたように感じます。最近ではこだわりなどなくなり言われたまんまの仕事ではなく作業をしている若者を見るとなんだかさみしくなってしまいます。
    やはり日本の製造業はだんだんと縮小していくのでしょうかねぇ。
    自分も18歳から車に乗って国産車ばかり20台以上新車で購入していましたがこの年になって初めて外車に乗りエントリーモデルでも手を抜かず作りこむBMWはすごい会社だなぁと感心します。
    上記内容はあくまでも主観であり全ての会社が当てはまるとは思っておりません。
    何にせよBMWはよい車でこの先乗り換えることがあってもBMWになるのかなぁと思ってます。
    お互いBMWライフを楽しみましょう!!
    別件ですがコロナの影響で部品が入荷せずに修理できない!と言うことがないのか不安に思っているのは私だけでしょうか?

    • ponsuke より:

      ムース 様
      ご返信ありがとうございます。
      製造業の大先輩の様ですね。
      まだまだ30代の若輩者ですが、同様のおもいが有ります。
      自分の勤めている会社にしても「こだわり」の部分が薄れているように
      感じています。言われたことをやればいい、マニュアルに沿ってやればいいと
      言った空気感を感じます。もっと、こうしたい、とかなぜこうしないんだ!
      と言った熱いものが薄れているように感じています。
      モノづくりをしている身としては寂しい限りです。
      愚痴を言っても始まらないので、行動を起こし始めています。

      仕事の話はさておき、明日1年点検でディーラーを訪れるので、
      部品入荷についても聞いてみます。言われてみればおっしゃる通り、
      部品入荷大丈夫なんですかね?(笑)
      今リコールが有ったら結構混乱するかもしれませんね
      ちなみに僕も次もBMWに乗りたいと思っています。
      (いつかはメルセデスにも・・・)
      お互いカーライフを楽しみましょう!

  4. wiseman410 より:

    長年欧州車とも触れあって来た、クルマとの付き合いが半世紀に近くなろうという、元整備士、以降は損保評価人を長く職業にして来た者です。

    BMWなど欧州車でドアヒンジのボデー側が鋳鉄(通常ねずみ鋳鉄は強度と脆性が低く割れ易いのでたぶん強度の高いダクタイル鋳鉄だと推定)ですが、私は以下の様に解釈しています。

    それは、ヒンジそのものではなく、ボデー側ヒンジ(溶接装着)とドア側ヒンジ(ボルト固定)との間にヒンジピンが垂直に入り機能しますが、欧州車はこのヒンジピンが比較的簡単に抜ける構造になっており、ボデーからドアを外す際は、このヒンジピンの抜き取りで行えることが要件としてのボデー側ヒンジの鋳鉄化であろうというものです。

    では、何故国産車ではまず引き抜くことができないヒンジピンの抜き取り構造が欧州車で使われているかということを以下に述べてみます。

    およそ、現代の生産工程では、世界中でそうなってしまったのですが、予めボデーの組立工程(含むドアの装着)など金属部分を総て装着後、カチオンED(電着)塗装(これは下塗り)から上塗り塗装までの総ての塗装工程を終えます。

    その後、艤装ラインと呼ばれる、ボデーに各種装備品を取り付ける工程に入りますが、インストルメントパネルなど、室内の大物部品の装着を補助機械(ジグ)を使用するためもあり、少なくとも左右フロントドアを世界中の車両メーカーでは行っています。ここで、少なくともと記したのは、4ドア車などではリヤドアまでを外している場合もあるからです。

    この際、日本車の場合は、ボデー側およびドア側共にボルト付け部品ですから、ドア側のボルトを抜き取り外します。日本車の場合ですが、ボデーやドアの寸法精度が極めて高精度で、ドアなど蓋物パーツと呼ばれるボルト付け部品には、ボルト根元がテーパー状となったセンタリングボルトが使用されています。従って、一度ボルトを緩め外したドアを再度ボルト付けしても、ドアチリ(隣接パネルとの隙間)は狂いが生じません。ただし、当該ボルトの緩め時に、ボルトに塗膜のハガレが生じることもあり、ボルトの再組付けでは、黒染め処理したボルトを使用していることが多いのです。

    一方、欧州車の場合、ボデー側ヒンジは溶接付けで外せませんが、ドア側ヒンジはボルト付けで日本車と同様に物理的には外せますが、実は欧州車のドア側ボルトは国産車の様なセンタリングボルトは使用せず、かなりの調整代を持っています。また、ヒンジとドア本体の間にスペーサーを挟み込み、ドア外板のチリを調整している場合が多く、生産ラインにおいてドア側ボルトの緩めによるドア外しを行いたくないのです。そのため、ヒンジピンを抜き取れば、ドアの再組付けで狂いが生じることなく可能というとことが、本件の根源的な理由になろうかと推察します。

    つまり、ボデーの寸法精度が、欧州車に比べ日本車は桁違いに高精度で、たぶんドアヒンジ廻りの国産車のXYZの寸法精度は±0.5mmのレベルに達していると推察します。なお、このことは、ドアだけでなく、例えばヘッドライトは国産も輸入車も4本程度のボルト固定ですが、ほとんど調整代のないのが国産車で、最新型欧州車でも、XYZで±5mm前後の調整代があるのが現状なのです。

    • ponsuke より:

      wiseman410様
      コメントありがとうございます。
      大先輩のコメント楽しく読ませていただきました。
      やはり日本車の生産技術力は高いものがあるんでしょうね。
      僕自身仕事で治具設計も行っているので、「ジグ」の言葉が
      出てきたのを見て、楽しくなってしまいました。
      確かにボディー側のヒンジはピン周りは肉も薄く、
      FC材では無い様な気がしますね。FCDもあの薄さはいけるか
      微妙な気もします。
      仕上がりから見て、ロストワックス品の可能性もあるかな、
      何て考えたりしていました。
      ロストワックスであれば、色んな材質を選べますしね。
      後、事故の際、簡単にドアが外せる様にする為に
      あの構造になっている可能性もあるのかなと想像
      していました。
      今後も色々ご教示頂ければと思います。

  5. ahatt より:

    ヒンジメーカーの担当者として回答させていただきます。
    1. 鋳鉄製のヒンジは現在は存在しません。ダクタイル鋳鉄等の高強度と言われる鋳鉄でも現在の衝突要件を満足できません。
    2. ドイツ車で多く使われているものは
     a. 型鋼(鉄道のレールをイメージしていただければ)を加工したもの。
     b. 鍛造
     c. 上記2つの組み合わせです。
    Lexsusで使用されてるものは型鋼およびプレス鍛造があります。
    3. ヒンジピン部で取り外せる構造の説明はほぼwiseman410さんのご説明通りです、ただし現在ドア側の溶接は行われていません。(過去にはありました)ボデー内側から締め付けているので溶接のように見えるかもしれません。

    • ponsuke より:

      ahatt様
      コメントありがとうございます。
      メーカーの担当者からのコメント大変うれしいです。
      今は鋳物のヒンジはないんですね。
      あの穴部のふちの薄さを見ると納得です。
      型鋼はやはり、熱押型鋼でしょうか?
      以前、仕事上で、1t~希望の型を行ってくれるものを
      紹介いただいていたので少し記憶に残っていいます。
      ヒンジも鍛造品を使用する時代なんですね。
      今後ともよろしくお願いします。

  6. dai より:

    興味深く拝読させて頂きました。
    因みにフランス車は、プレス部品のヒンジを採用してます。失礼ながら、ドイツ車に比して、格段に高精度とは思えないのですが。
    あと、レクサス、センチュリー等高級車には、なぜ型鋼を使用しているかも気になるところです。

    • ponsuke より:

      dai 様
      コメントありがとうございます。
      フランス車もプレスヒンジなんですね。個人的に最も納得したのが、事故の際、ピンを抜いてドアを外すために型鋼や鋳物製を採用しているという話です。ドイツ車やボルボなどは事故現場で検証を繰り返しているとの話もありますし、これが理由なら個人的には納得感があると思います。