燃費性能や、環境性能、トルクフルな走行性能に優れた最近のクリーンディーゼル車ですが、一般的に弱点もいくつか存在します。一つは騒音。そして振動。BMWのクリーンディーゼル車は確かにディーゼル特有のカラカラ音はしますが、気になるほどの騒音はありませんし、振動も良く抑えられていると思います。騒音や、振動以外にも、意外と知られていませんが、ディーゼルエンジンの燃料は軽油ですので、寒冷地では、場合によっては軽油が凍ってしまい、エンジンがかからなくなってしまうという、少し注意が必要になると言う弱点があります。
軽油には種類がある
ガソリンにはプレミアムガソリンとレギュラーガソリンがありますが、ガソリンスタンドで見かける軽油は1種類しかないじゃないか、と思うかもしれませんが、JIS規格では、
・特1号
・1号
・2号
・3号
・特3号
の5種類の軽油が定められています。
これらはそれぞれが持っている流動点によって分類されています。この流動点とは、軽油内にあるワックス分が低温になり、析出し、ドロッとなってしまい流動しなくなり、エンジンがかからなくなってしまう目安の温度と思っていただければいいかと思います。
この流動点は、それぞれ、
・特1号・・・5℃以下
・1号 ・・・－2.5℃以下
・2号 ・・・－7.5℃以下
・3号 ・・・－20℃以下
・特3号・・・－30℃以下
となっています。季節によって軽油も中身が変わっています。
これにも軽油使用ガイドラインと言うものがあり、大まかに言うと、夏場は全国的に特1号軽油が使用されています。春と秋は1号or2号軽油、冬場は北海道は特3軽油、それ以外の寒冷地では3号軽油。一般的には2号軽油といった具合に地域により内容が異なっています。
あくまでもガイドラインなので、実態は各ガソリンスタンドに確認しなければわかりませんが、おおむねこのようになっています。
注意が必要なのは温暖地域から寒冷地へ行く時
ここで注意が必要となってくるのが、冬に温暖な地域から寒冷地へ行く時になります。例えば東京に住んでいて、長野のスキー場へディーゼル車で遊びに行く時。
多くの人が燃料を満タンにし、スキー場を目指して出発すると思います。そして現地で宿泊し、翌朝エンジンを掛けようとするも、かからない。なぜか？
東京で給油した軽油が凍ってしまうからです。凍るといっても水が氷るようにカチカチになるのではなく、ワックス分が析出し、ドロドロになり、エンジンに燃料が供給されなくなってしまうのです。
先ほど記述したガイドラインから言えば、東京の冬季の軽油は2号軽油。ですが、スキー場等の寒冷地へ行けば、明け方、温度が-10℃を下回る事も珍しくありません。2号軽油の流動点は-7.5℃。寒冷地の冷え込みには勝てず、ドロドロになり、エンジンがかからなくなってしまします。
ではどうすればいいのか？
寒冷地に行く際は燃料の残量が半分以下になるよう計算し、現地で給油すること
寒冷地では寒冷地用の軽油となっていますので、なるべく燃料の残量が半分以下になるように調整して出かけることをお勧めします。そして現地で給油すれば、よっぽどの寒波でも来ない限りは大丈夫です。
でもこれ燃費の良いBMWのディーゼルでは意外と難しいんですよね。さっき書いた東京から長野のスキー場に行く場合、場所にもよりますが、距離的に約200km～250kmで行けます。
しかも、ほぼ高速道路の走行となると思います。
この距離だと満タンでスタートした場合、1シリーズだと1/4減るかどーかと行った具合です。
僕は心理的に、満タンにしてから出かけたくなってしまいますが、いくらか燃料を減らした状態でスタートするのが望ましいですね。
そして、現地で給油すれば大丈夫です。この時、念のためガソリンスタンドで軽油の種類を教えてもらえばさらに安心です。
走行距離の少ないあなたは季節の変わり目にも注意
BMWのディーゼルは燃費がとてもいいです。週末に買い物程度しか車に乗らないような人であれば、恐らく、1回給油すれば2～3ヶ月程度は給油なしで過ごせるのではないかと思います。
給油間隔が空きすぎて、夏場用の軽油で冬を迎えると、寒冷地でなくても、エンジンがかからなくなった！なんてことにもなりかねません。
さすがにそんな経験はありませんが、流動点の数値だけを見れば、起こりえる事態だと思います。
普段走行距離の少ない人でディーゼルモデルを選んでいる人は少ないかと思いますので、あまり心配ないとは思いますが、もし、私走行距離少ないわ、なんて思い当たる人は注意した方がいいかもしれません。
最後に
色々書きましたが、基本的には、注意が必要なのは寒冷地に出かける時だけです。ディーゼルエンジンの車に乗っている人は、軽油にも種類があることを頭に入れておけば、不測の事態は防げると思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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